皆さんは、デマンドコントローラーというものを知っていますか?
企業における経費削減について調べると「デマンドコントロール」というキーワードを多く見かけるはずです。しかし、あまりこの言葉に馴染みがなく、知らない方も多くいらっしゃると思います。本記事では、デマンドコントローラーとはどのようなものか、またその活用事例についてご紹介します。
デマンドコントローラーとはなにか?
デマンドとは?
デマンドコントローラーについてお話をする前にデマンドについてご説明します。
デマンドは「需要」という意味ですが、ここであげられるデマンドの意味は、30分間の使用電力量の平均値(kW)のことを示します。高圧電力契約をしている場合、電力会社の電力量計(電気メーター)には、このデマンドが記録されています。
2016年から低圧電力の小売が自由化。そもそも高圧、低圧の違いって?
なぜデマンドコントローラーが生まれたのか
デマンドコントローラーとは、デマンドの上昇を防ぐために生まれました。デマンドを抑えることで使用電力量を抑えることができ、電気料金を下げることが出来ます。(その仕組みについては、2つ目の項目で詳しくお話しします。)
デマンドコントローラーの種類
デマンドコントローラーは、大きく分けると手動調整と自動調整の2つの種類があります。どちらにおいても、あらかじめ基準の最大デマンド値を目標値として設定する必要があります。
手動調整では、その最大デマンド値を超えそうになると、事前にメールやアラート等でお知らせしてくれます。このメールやアラートのみでは使用量を下げることはできないので、その内容を確認し、照明や空調などを調整することが必要です。
一方、自動調整は言葉通り、目標値を超えそうになると自動的に電気機器の調整(使用していない機器の停止や機能変更)を行います。デマンドの監視を行うだけでなく、使用電力量を下げるために自動で電気機器の制御を行ってくれるので、時間や手間を費やすことなく最大デマンド値を下げることができます。
しかしこの自動調整は手間が掛からないメリットがある代わり、導入時に大幅なコストがかかります。また、制御の設定が適切か、適宜見直す必要があります。
「制御できるはずのところができていない」「無理な制御で労働環境が損なわれた」ということがあっては活用できているとは言えません。更に、小売店など不特定の方が出入りする場では、取り組みが伝わらず「暑い・寒い」というクレームに繋がることもあります。実際に導入された方の声を聴くと、従業員の異動や入れ替わりが激しいことから仕組みの共有化が難しく、店舗から「空調が故障したから交換してほしい」と要望が出ることもあるようです。
デマンドコントローラーがどのようなものか少し理解していただけたでしょうか?
このデマンドコントローラーを上手く活用することで、電気料金の削減をすることが出来ます。また、使用電力量も抑えることでCO2の削減が出来、環境保全にも繋がります。企業として経済の活性化・企業としての発展を目標として掲げる場合、電気料金など必要経費の削減をすることも重要なポイントとなるでしょう!
次にデマンドと電気料金の関係についてお話しします。
電気料金がどのようにして決まるのか ~デマンド制の仕組み~
電気料金は、基本料金+電力量料金で決まります。
この基本料金は、一般家庭においては固定ですが、500kW未満の高圧電力契約をしている施設・企業・工場等はデマンドにより変動します。基本料金の計算式は、下記の通りです。
基本料金単価×契約電力×(185-力率)%
基本料金単価:1,220.4円
契約電力 :100kW
力率 :100% の場合、
1,200.4円×100kW×85%=102,034円 …が月の基本料金となります。
この契約電力が年間の最大デマンド値から算出されているのです。
グラフに表すと、以下のようになります。
1日の最大デマンドを1ヵ月分計測した中の最大デマンドが月の最大デマンドになり、またそれを1年間計測し続けた結果が年間の最大デマンド=契約電力になっていきます。
この契約電力は1年間下がりません。またデマンド値が過去11ヵ月の最大デマンド値を超えるとその数値が契約電力となり、電気代はどんどん上がる仕組みになっています。このことから、いくら使用電力量を抑えても、基準となる契約電力は1年間変わらないため料金も変動しないということです。
このデマンドは、1日では48回、1カ月では1440回、1年では17520回計測されています。この17520回のうち、たった1回でもデマンドがピークを超えると、基本料金の基準となる契約電力は上がってしまいます。
たったの30分間、少しの電気を使ってしまったために1年間の電気料金が高くなると考えると、非常にもったいないと思いませんか?
電気料金を削減するためには
1年間24時間365日、常に使用電力量を気に掛けるということは、本業との並行を考えた場合、面倒だ! と思う方がほとんどでしょう。
しかし、1年のうち30分の使用電力量を抑える意識をするだけで、電気料金は下げることができます。1年間逐一使用電力量を把握する、継続して使用量を抑えるというわけではなく、30分の使用量のピークを抑える、これだけで電気料金は削減することが出来ます。電気料金の削減は決して面倒くさいこと、難しいことではありません。少しの努力で削減することが出来ます。最大のデマンド値を把握し、その使用電力量を確認し、うまく使用量を抑えることで電気代の削減に繋がります。
デマンドを抑えるためにはデマンドコントローラーを活用することが重要と言えます。日常業務を行う上で気付きにくい使用電力量やデマンド値をタイムリーに監視、お知らせしてくれるからです。
それでは、次にデマンドコントローラーの活用法についてお話をしていきます。
デマンドコントローラーの活用事例
デマンドコントローラーは、ただ設備を導入するだけでは電気料金の削減に繋がりません。では実際に活用した例をもとに、どのような取り組みが電気料金の削減に繋がるのか考えてみましょう。
デマンドコントローラーの導入事例
デマンドコントローラーを十分に有効活用したことで、デマンド値を抑制し、契約電力の削減に成功した事例や、デマンドコントローラーのアラート・モニター機能を活用し、電子機器や空調の自動起動や使用法の最適化等、運用面での管理を行うことにより、使用電力量の削減に繋がった事例があります。
参考
デマンドコントロールシステムを活用した効果的な電力使用事例神奈川県環境農政局環境部環境計画課
ここで、当社が展開しているデマンドコントローラーの導入事例も併せてご紹介します。
「最小限の努力で最大限の効果を!」~デマンドハンターの活用例~
当社サービスにおけるデマンドコントローラーはデマンドハンターといいます。
弊社のデマンドハンターを実際に導入したスポーツ施設では、デマンドハンターのメールが来た際に「10分間空調を送風に変更する」や「5分間バックヤードの照明を切る」等、ちょっとしたアクションを加えることで、電気料金を削減に繋がりました。
このような小さな取り組みでも電気料金の削減・省エネに繋がります。
参考
【事例】ミズノ株式会社様スターメンテナンスサポート
デマンドハンターを導入したお客様では、小売店で月約50,000円~200,000円、工場で月約100,000円~250,000円、病院で月約30,000円~60,000円の削減実績があります。電気料金の削減率は、業種や規模、電気の使い方によっても異なります。また、実際起こすアクションも同様に変わってきます。しかし、この事例をもとに「少しの努力を積み重ねること・デマンド管理を行うこと」が大切であることが分かります。
実際にどういったアクションをすれば電気料金の削減につながるかわからない、実践出来るか不安であるという企業様にも、弊社は現場の状況にあったアドバイスを行っています。私達はエネルギーに関する正しい知識やノウハウを提供することで、電気料金の削減を実現します。
当社サービスにおけるデマンドコントローラーの紹介
前述しているデマンドハンターは、弊社のecoPuという電気の見える化を行うサービスと併用することにより、電気料金の削減をすることができます。
ecoPuは、インターネット上で使用電力量を確認でき、前年との使用量の比較やデマンドの目標値を見える化することにより、分かりやすく管理することが出来ます。また使用量だけでなく漏電や停電も監視しており、電気の安全性を高めることにも繋がります。市場には多くの多機能を備えた見える化システムもありますが、ecoPuは敢えて分析機能を簡略化しています。電気専門の担当者がいない中小企業の方に活用していただきやすくなっているのです。
デマンドハンターでできること
デマンドハンターは、基本料金の基準となる契約電力、つまり最大デマンド値を越えそうになるとメールでお知らせしてくれます。メールで受信することですぐに気付くことができ、使用電力量を抑制することができます。また、多くの店舗を管理する企業でも店舗ごとのデマンド値を把握することが出来るのです。
このお知らせが来た時にどういう対策を行うか、社内・店内で事前にルールを決めておくことが大切です。「最小限の努力で最大限の効果を!」という気持ちを大切にしている社員で協力し、無理なく省エネを続けることが出来ます。
省エネを継続することが電気料金削減の第一歩!
省エネを実践している企業様は多くいらっしゃると思いますが、その効果がなくなったと思われる方も多くいるように思います。しかし電気料金は自然と下がるものではありません。省エネとは一時的に行うものではなく、継続することが何よりも大切です。
デマンドコントローラーの機能を理解し、うまく活用することで、省エネを継続出来ます。
関連記事電気代のしくみを知ろう。電気代に含まれる燃料費調整額って?
以上のように、少しの努力を積み重ねることにより電気料金を削減したいと感じている企業様は、ぜひ弊社にご相談ください。どのようなアクションを起こせばよいか、現場の状況から電気の利用方法を最適化していきましょう!