電気事故は他人事じゃない!波及事故を起こさないために

普段当たり前に使っている『電気』。身近にありすぎて意識をしていないかもしれませんが、電気設備というものは事故と隣り合わせの存在です。適切な保守管理、利用をしていないと思いもよらない事故によって多大な損害が発生することも……?
今回は高圧受電設備を所有されている需要家向けにご説明いたします。

電気設備って?

電力会社から送られる電力を安心・安全に使うための設備です。
使う用途によって様々な設備があります。

高圧受変電設備の構成って?役割や交換時期を知ろう

高圧の電気設備は、電気を安心・安全に使用するため定期的に点検するよう電気事業法という法律で定められており、その点検は合格率8%と非常に難易度が高い国家資格に合格した「電気主任技術者」が行います。

電気事故とは?

電気設備や電気機器の故障や不備、整備不良、または誤った使用や設計によって生じる事故の事を電気事故と呼びます。
関連する機器の不動や故障を誘発するものから、火災(電気火災)や死亡事故へ発展する場合などもあり、その規模や危険度はさまざまです。

電気事故が起きる原因

電気事故の原因について、経済産業省への報告より2020年度分を抽出しました。(出典:電気設備の事故情報公開システム|(独)製品評価技術基盤機構)

① 保守不備/保守不完全 48件
② 保守不備/自然劣化 44件
③ 故意・過失 41件
④ 他物接触 11件
⑤ 不明 5件
⑥ 設備不備 1件

6項目のうち大半を保守不備/保守不完全と自然劣化が占めています。

保守不備/保守不完全というと、電気主任技術者が点検を怠っているのではと思われがちですが……
一つ例えをあげるなら、車検で不良箇所があったとしましょう。
指摘があった不良箇所は勝手に交換・修理されず車の所有者の判断によって行いますよね。それと同じです。
電気主任技術者の指摘を放置していると、設置者の保守不備/保守不完全と見なされるわけです。

もう1つの自然劣化ですが、製造年から長く使い続けることで故障が起こり電気事故の原因になります。

事故事例

電気事故にはどういったものがあるのか、事例をもとにご紹介します。

●事故発生場所…運送会社事業所

事故概要

電力会社から電気主任技術者へ配電線用遮断器が作動し停電が発生と連絡が入る。
事業所で起きた電気事故が原因で近隣一帯に地域停電を引き起こした。
※地域停電…地域一帯に停電が起きること

原因

高圧ケーブルの自然劣化により被膜が破損、その破損部分から雨が侵入し漏電が発生したことが原因。
また、事業所のPASにSOGの設置が無かったため、電気事故を遮断できなかった。
このことから「波及事故」と認定された。

2年前から電気主任技術者によるSOG設置の指摘がありましたが、所有者の運送会社では対策を取っていませんでした。
緊急工事となったため、通常の交換工事以上の金額が発生しています。

この「波及事故」は近隣に影響を与えてしまうことから、損害賠償までに発展するケースもあり、中には1,000万円以上の賠償金を支払う事もあります。

最後に

電気設備の更新はお金がかかるものです。更新をしたくてもすぐに出来ないということもあるかもしれません。しかし、最初は時期を見て更新しようと思っていたものが、「指摘を受けてもまだ事故は起こっていない」「もうしばらくは大丈夫だろう」と、次第に危機感や関心が薄れ、放置している方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか?
即断即決で更新は出来ずとも、更新計画を立て被害が大きくなりそうな箇所から順番に対応出来るよう、担当の電気主任技術者に相談することをおすすめいたします。
それでも事故が起こってしまったら……と不安な方は、私たちが日々の保安点検は勿論のこと、不良設備の調査や更新工事、交換後の検査を行なっていますので、ぜひ一度ご相談ください。

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