ここ数年よく耳にすることが多くなったBCPという言葉、皆さんはご存じですか?
BCPとはBusiness Continuity Planningの略で、事業継続計画という意味を持ちます。
震災や豪雨、コロナウイルス……昨今の日本は頻繁に緊急事態に遭っています。
ビジネスの拠点となる社屋や、それで働く従業員の安全は勿論のこと、そこに保管されている財産や情報を守り事業を継続するためにはどうしたらよいのでしょうか?
BCP取組状況のチェック
BCP取組対象は大きく5つの種類に分けられます。
- 人的資源(従業員)
- 物的資源(モノ)
- 物的資源(資金)
- 物的資金(情報)
- 体制等
人的資源(従業員)に対しては…
- 安全確保のための計画を立てているか
- 連絡網が確立しているか
- 必要な人が出社できない場合の代行者を準備できているか
- 救急訓練をしているか
物的資源(モノ)に対しては…
- 建屋・設備が災害に耐えられるか
- ハザードマップの確認(周辺危険性の把握)をしているか
- 操業停止等に備えて代替手段を準備しているか
物的資源(資金)に対しては…
- 操業停止時の損失を把握しているか
- 保険の補償範囲はどうなっているか
- 災害時の融資制度はあるか
物的資源(情報)に対しては…
- 情報のバックアップを定期的にとっているか
- ITシステムが故障した際の代替手段はあるか
体制等に対しては…
- 自社で優先的に継続・復旧すべきなのはどの事業か決めているか
- 代表者がいない場合の指揮を取る人間は誰か
- 同業者や取引先との相互支援体制はあるか
あなたは現在、いくつ取組をしているでしょうか?
BCPを策定することで、緊急時の対応力が向上することは勿論、優先的に継続する商品やサービスが明確になることで振り分けるリソースの最適化や、業務工程の効率化といったメリットも生まれます。
また、そういったリスクへの対策に余念がない企業は、お客様からの信頼を向けられることでしょう。
電気設備のBCP
ここからは電気設備の点検に携わる立場から、具体的なBCP対策についてお話しします。
震災の場合
電気設備には重量のあるものも多く、激しい揺れで固定具が緩み、設備の傾きやズレといった危険な状態になることが想定されます。
基本対策として、定期点検時には固定しているボルトやナットの緩みや締め付け具合を点検すること。
また変圧器は接続されたケーブルがズレによって引っ張られ、外れたり接触したりと危険な状態になりかねません。変圧器等の大型設備でもしっかりとした耐震支持金具を取り付け、ケーブル接続部の端子には多少の移動を吸収出来るようなものに変更するといいでしょう。
水害の場合
災害といえばまず思い浮かぶのは震災かもしれませんが、水害も非常に恐ろしい物です。甘く見ることなく対策して行きましょう。
河川の氾濫を原因として起きた停電は復旧の目途が立たないことも多く、停電自体を防ぐことは出来ません。
特に医療機関などは豪雨の影響で怪我人が急増するのに、電気が使えないので患者を断らなければならないという事態にならないためにも、緊急時に使用可能な電源の確保は必須です。
蓄電池が無い方は電源車やEVなどのリースを行なっている企業もあります。約4日間の電力供給を可能とし、事業所内の電源となるほか、屋外や出先でも貴重な電力供給拠点となります。
また、太陽光発電設備を備えている方は、太陽光で発電した電気を蓄電池に充電することで稼働時間を延ばすことも可能で、長期間の停電でも安心して運用が出来ます。
最後に
震災や水害で直接死に至ることがなくとも、長期に渡って停電が続けば夏場は熱中症、冬場であれば低体温症で命を失うこともあります。人命を失うことがなかったとしても、勤め先が事業継続困難な状況に陥ってしまえば仕事を失い路頭に迷うこともあるでしょう。
そういった事態を防ぐためにも、BCP対策を講じておき、人命の確保・事業継続可能な環境を整えていただければと思います。
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