相次ぐ新電力の倒産・事業撤退。大手電力会社も法人向け停止が続々と
燃料価格の高騰やウクライナ情勢等が影響し、電源調達コストが増大しています。その結果多くの新電力会社が倒産、事業撤退を余儀なくされています。また、大手電力会社も法人向けの新規契約を停止する動きが見られています。
帝国データバンクによると、2021年度新電力会社は14件倒産しました。前年度の2件から急増し、過去最多を大幅に更新しています。また、電力小売事業からの撤退や新規申し込み停止も相次いでおり、2021年4月に営業が確認できた新電力会社約700社のうち、約4%に当たる31社が過去1年間で倒産や廃業、事業撤退を行ったことがわかっています。
世界のエネルギー情勢の先行きは不透明で、現在の契約先が未来永劫存続する保障はありません。
「電力難民」は最終保障供給に殺到
現在契約している電力会社が事業撤退し次の契約先が見つからない場合、私たち需要家は電気を使えなくなってしまうのでしょうか。答えはノーです。電気事業法に基づき、「最終保障供給」というセーフティーネットが設けられています。
<電気事業法関連規定抜粋>
(託送供給義務等) 第十七条
3 一般送配電事業者は、正当な理由がなければ、最終保障供給及び離島供給を拒んではならない。
今、この最終保障供給の契約件数が増加しています。2022年4月15日時点の契約件数は4,098件と、前年同月590件の約7倍になっています。
一時的なセーフティーネットであるはずの最終保障供給に、何故こんなにも需要家が殺到しているのでしょうか。
割高なはずの最終保障供給に起こっている「逆転現象」。一般送配電事業者の大赤字も
最終保障供給の料金は大手電力会社の標準メニューより2割高い水準に設定されています。これは需要家が早く次の契約先を見つける動機にする狙いがあります。
しかし今、この最終保障供給料金と一部の自由料金に逆転現象が起こっているのです。その原因は冒頭の電源調達コストの増大にあります。
電力は需要と供給を一致させなければ周波数が乱れ、場合によっては大規模な停電を引き起こすリスクがあります。そのため一般送配電事業者は調整用の電力を保有しています。最終保障供給はこの調整用の電力を利用しています。
最終保障供給の契約増加が進めば、一般送配電事業者は卸電力市場から電力を調達しなければなりません。現状、この調達コストが嵩み大赤字に繋がっています。
このままでは最終保障供給という仕組み自体が崩壊する恐れがあります。そこまで至らずとも、今の状況は適正な価格形成、自由競争の阻害に繋がります。
最終保障供給から抜け出すためにできること
需要家的にも一般送配電事業者的にも、最終保障供給から早急に抜け出す必要があります。 そのためにできることはなんでしょうか。
◆原発の再稼働
世界の情勢に影響されないよう、国内のエネルギー供給網を強化する必要があります。その手段のひとつが原発の再稼働です。多様な供給手段が確立されていれば、リスクを分散することができます。
◆電力需要を減らす
電力不足を解消するために電力需要を減らす必要があります。まずは電気の見える化で現状を知ることが第一歩です。そこから電力需要を減らす戦略を立てましょう。
関連:【お役立ち資料】電気の見える化徹底活用
価格が上がると単純に省エネインパクトは上がります。電気料金削減のためにもこの取り組みは無駄ではありません。また、省エネ設備への更新のメリットも大きくなります。今一度設備投資を検討してみてはいかがでしょうか。補助金が活用できる場合があります。
関連:【お役立ち資料】省エネ補助金獲得のポイント
◆自家消費を目指す
需要家自身で電力を創る、つまり自家消費を行うことも電力不足解消に繋がります。自家消費のメリットはたくさんあります。
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最後に
敏感にアンテナを張り市場復活時の準備もしておきましょう。 当社は大手電力会社や子会社との連携を行い、お客様に即時にご案内できるようにいたします。
大混乱の電力業界ですが、我々とともにレジリエンスを強化し困難を乗り越えましょう。是非お問合せください。
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参考:
- 新電力の倒産、過去最多の 14 件が発生 過去 1 年で累計 31 社が事業撤退|帝国データバンク
- 最終保障供給とは|日経電子版
- 電力の最終保障供給「依存」に懸念|電氣新聞