平成8年(1996年)1月に導入された「燃料費調整制度」というものがあります。
電力会社の発電コストのうち、燃料費は為替レートや原油価格といった経済情勢の影響を強く受けるものです。情勢変化を迅速に料金に反映させることで、電力会社の経営環境の安定を図ることを目的としています。
9月以降の電気料金の更なる高騰に、この燃料費が大きく関わってきます。
2022年9月以降の電気代上昇の理由
大きく2つの原因があります。
1.燃料費調整単価の高騰
震災後、2022年までの中国電力管内最高値は2014年5月の1.73円でしたが、2022年2月に2.41円と最高値を更新して以来、下がることなく上がり続けています。
そして2022年9月は9.01円。前年同月は-0.3円でしたので、差は9.31円です。
燃料費調整制度のご案内|中国電力をもとに当社作成
※出典の掲載(2021年5月)以前のデータは当社で過去に収集したデータを使用しています。
ただ、単価で比較してもよくわかりませんので、前年同月と電気使用量が全く変わらなかったと仮定して、燃料費調整額がどれだけ変わるのか試算してみましょう。
燃料費調整単価[円/kWh]×電気使用量[kWh]
【電気使用量が300,000kWhの場合】
2021年9月
-0.3円/kWh×300,000kWh=-90,000円
2022年9月
9.01円/kWh×300,000kWh=2,703,000円
∴2,793,000円の支払い増加
2.託送料金制度改革による電力会社の収入見通し増加
あまり耳にする言葉ではありませんが、電気料金の中には「託送料金相当額」(以下、託送料金)というものがあります。これは送配電ネットワークの維持・運用にかかる費用を全て回収出来るように、電力小売業者を通して送配電事業者が利用者から徴収する金額のことです。
レベニューキャップ制度と呼ばれる2023年開始の新制度によって、大手電力会社10社が収入見通しを発表しました。
中国電力ネットワークは2,718億円から3,230億円と収入見通しを512億円(約18.8%)増加しています。現在、中国電力ネットワークのHPによると高圧の託送料金平均単価は4.38円。単純に18.8%上昇すると考えれば約5.17円です。
上記の情報を基に、燃料費調整額の試算で使用した電気使用量と同様の場合、どのくらい変化があるのか試算してみましょう。
託送料金平均単価[円/kWh]×電気使用量[kWh]
【電気使用量が300,000kWhの場合】
現在
4.38円/kWh×300,000kWh=1,314,000円
新制度
5.17円/kWh×300,000kWh=1,551,000円
∴237,000円の支払い増加
イニシャルコスト0から始める電気料金削減
燃料費調整額に加えて託送料金の増額があるとすれば、こんな状況では電気の使用量を下げるための設備投資に回す資金が……という方も多いかと思います。
イニシャルコスト0で始めることの出来る電気料金削減の取り組みをご紹介します。
以前のブログでもご紹介した、PPAモデルの自家消費型太陽光発電を設置するというのが1つ。こちらは初期投資0円で設置が可能で、所有者ではなく施工者側が費用を負担します。
太陽光で発電した電力は電力会社の電気使用量に含まれませんので、今回電気料金高騰の原因としてお話しした燃料費調整額と託送料金を両方とも下げることが可能です。
なぜ今、自家消費型太陽光なのか?SDGs、電気料金高騰対策、BCPなどメリット6選!PPAとの違いも
また、設備投資に関しても初期投資不要のリースやレンタルにより、省エネ効果の高い設備を設置可能なサービスを取り扱う会社も増えてきました。
無料で始められるため無理なく取り組むことができ、月々のリース・レンタル料金も電気料金が高騰している現状だと、短期間でペイできるものが増えています。
最後に
我々スターメンテナンスサポートは省エネのトータルサポートを行なっています。
電気の保安点検に始まり、そこから得た情報を基にした省エネ診断、省エネの提案。太陽光発電設備など再エネ発電所の保守や補助金の取得支援による省エネ設備の導入。
そういった事業を通して出来たパートナーには、当然省エネを含めた各分野のスペシャリストがいますので、お客様の状況に合わせてご紹介可能です。
私共だけでは解決出来ないお客様の問題も、頼りになるパートナーと共に力を合わせて解決してみせます。
皆さんの助けになるために、私たちの力を使わせていただけませんか?
エネルギーのことでお困りでしたら、是非一度お問合せいただければと思います。
▶お問い合わせはこちら
参考:
- 燃料費調整制度について|資源エネルギー庁
- 料金設定の仕組みとは?|資源エネルギー庁