排出量取引制度とは ~二国間クレジット~

排出量取引制度とは、地球温暖化の原因とされるCO2などの排出枠を国や企業ごとに定め、この排出枠を超えてしまった時に、排出枠が余った国や企業との間で取引する制度です。

1970年代にアメリカで発電所から排出される二酸化硫黄を削減するために作られたもので、温室効果ガスの排出量を削減し地球温暖化に貢献することが狙いです。

二国間クレジット

日本が、温室効果ガス削減に貢献する自国の技術や製品、インフラなどの分野で途上国に援助・協力し削減に成功した場合、一定量を自国の削減目標達成に活用できます。

日本のパートナーである途上国は、モンゴル、バングラデシュ、エチオピアなどの16か国です。先進的な低炭素技術の多くは、途上国にとってなかなか投資回収を見込みにくいものです。日本は、二国間クレジット制度などを駆使することで、途上国の負担を下げながら低炭素技術を普及させていく目的から、2015年11月のCOP21首脳会議で安倍首相が、途上国への温暖化対策支援を2020年に現在の1.3倍となる年間1兆3000億円に増額する方針を表明しました。

一方で、排出取引の有効性を左右する上限の設定方法に課題が残っています。

排出枠を緩く設定した場合

少ない労力と費用で排出量を排出枠以下に減らした上に、削減した排出量を他国に売却することで、さらなる利益を得ることになります。また、排出枠の買い手より売り手の方が多くなるに従って排出量の価格が下がるため、削減努力をしない方が得になってしまいます。

排出枠を厳しく設定した場合

多くの労力と費用で排出量を減らさなければいけない上に、排出量が排出枠を上回った場合にはさらに排出量を購入する費用がかかってしまいます。

このように、排出枠の設定次第で大きな差があるため、国家間、団体・企業間で排出枠設定の厳しさに差があればあるほど不公平が増し、公平な排出枠の設定が求められています。反対に不確実性をなくすことはできないなどから、ある程度の不公平は免れないという指摘もなされています。

ビジネスとしては、国内排出取引などにおいて、企業や団体などが保有する排出量をさまざまな形で取引しようという動きがあり、銀行や証券会社が、金融商品として排出量を株式や債権と同じように取引する試みや、日本の技術面では、家電、地熱発電、バイオ燃料、蓄電池など省エネ製品・技術の開発や売り込みをより強化することで技術開発の発展が予想されています。

参考元:環境省(リンク切れ)