法改正見逃していませんか?小出力発電所の使用前自己確認の義務化

自家消費型や余剰売電型の小型太陽光を設置しようとされている方、法改正を見逃していませんか?これを見逃すと、設置したはいいが発電出来ない、施工不良で工事のやり直しといった事態にもなりかねません。

法改正から1年経ちましたが、小型の自家消費型太陽光の需要が高まる反面、こちらはまだまだ浸透していないため今回記事化しました。

使用前自己確認ってなに?

太陽光発電設備や風力発電設備の稼働にあたって、安全に使用出来るよう国が定めた基準を満たしているか確認することです。

もともとは50kW以上の太陽電池発電所に限って適用されていたのですが、突風や台風などで近隣の家屋などにパネルが飛んで、第三者に被害が出てしまうといった事故状況を踏まえて、その対象が2023年3月20日より拡大されました。風力発電については今回詳細を省きますが、こちらも変更があります。

従来は、電気的な技術基準の確認のみが対象でしたが、建築基準が厳格化され、更に下図の通り10kW以上50kW未満の太陽電池発電設備も義務化されました。

画像出典:第28回 産業構造審議会 保安・消費生活用製品安全分科会 電力安全小委員会 資料1|経済産業省

どんなことを確認するの?

下記に大まかな確認内容を記載しています。上の項目が既存の確認内容で、下の項目が厳格化し新設された確認内容です。

●従来の電気的な確認

電気設備の技術基準の解釈に従って、下記確認を行なう。使用する一部機材も日本産業規格(JIS)に沿うよう但し書きがあったりと厳格。

 ・外観検査
 ・絶縁抵抗測定
 ・絶縁耐力試験
 ・保護装置試験
 ・制御電源喪失試験
 ・負荷遮断試験
 ・負荷試験(出力試験)

●新設された建築基準の確認

建築基準法・日本産業規格(JIS)・国際規格(ISO)といったものに準拠して、下記確認を行なう。
 
 ・設計荷重の確認
 ・支持物構造の確認
 ・部材強度の確認
 ・使用材料の確認
 ・接合部構造の確認
 ・基礎及びアンカー強度の確認
 ・アレイ面の最高の高さが9mを超える場合に必要な確認
 ・土砂の流出及び崩壊の防止に係る確認

更に詳細を確認したいという方は、上記確認項目の引用元である下記リンクのページ内にあるPDFをご覧ください。
引用元:「使用前自主検査及び使用前自己確認の方法の解釈」の一部改正について|経済産業省

やらなかったらどうなる?

使用前自己確認を行ない、その後は経済産業局に使用前自己確認結果の届出を行なわなければなりません。この届出がなければ発電の許可が下りず、せっかく設備を設置したのに発電が出来ずに設置費用だけ掛かって、設備は何もしていないのに老朽化だけ進んでいきます。

法改正を知らない業者に設置を薦められて、設置後しばらく使用前自己確認をしておらず、発電を1度止める事態になった事例もあります。その設置者は、最終的には使用前自己確認を行ない発電を始めましたが、停止中の発電ロスや追加で発生した検査費用などをどうするかというのが次の問題になってきます。 場合によっては発電停止命令だけでなく、国から罰金刑やFIT認定の取り消し等を受ける可能性もあります。

参考
電気事業法|e-GOV法令検索
電気事業法施行規則|e-GOV法令検索

トラブルを未然に防ぐために

上記のようなトラブルにならないよう、太陽光発電設備の設置や変更前には担当する電気主任技術者によく確認をしておいた方がよいでしょう。

また、最近厳格化したこともあり、使用前自己確認を行なえない業者や技術者も多いです。特に技術者は高齢化が進んでおり、こういった法改正に対応が遅れがちです。当社提携の中央電気保安管理技術者協会では、そういったことが起こらないよう理事長自身が若手の技術者を連れて、経済産業省のセミナーに出向いたり勉強会をすることで、使用前自己確認を安心して頼んでいただける環境を作っております。 太陽光の設置をしたいがそのための手続きが不安、担当の技術者や施工業者が使用前自己確認についてよく知らないようだ、といった際には是非一度スターメンテナンスサポートにお声掛けいただければ、お力になれると思います。

▶お問い合わせはこちら