その電力契約ちょっと待った!市場連動型の特徴と営業に聞くべきポイント

今、市場連動型の電力が安い! ということで取り入れる方が増えています。
数年前は「市場連動なんてやるんじゃなかった…」という声をたくさん耳にしていましたが、最近「市場連動型の電力契約が安いと営業が来た」という話をよく聞くようになったのでブログにて取り上げることにしました。
今回は電力会社の情報を扱う電力仲介業者としての視点から市場連動型を選んだ人の声・選ばなかった人の声や、市場連動型を検討する際に営業に聞くべきポイントをお伝えします。

市場連動型を選んだ人の声、選ばなかった人の声

選んだ人
選んだ人

とにかく安い。今の電力会社と比較して数十万円下がったから。

選んだ人
選んだ人

物価高騰で利益が出ず厳しい。少しでも安くできるなら有難い。

選んだ人
選んだ人

コロナやウクライナ問題でどこの電力会社も契約してくれなかった最終保障の時、市場連動型しか選択できなかったから。

選ばなかった人
選ばなかった人

市場連動型を選んだ人から困った声を聞いたから。

選ばなかった人
選ばなかった人

安い時期の単価で営業しているだけだから。実際にはそこまでメリット出ないと思う。

選ばなかった人
選ばなかった人

予算管理ができないから。電気は絶対買わなきゃいけないもの。支払いの見通しが立たないと、最悪会社が潰れる。

市場連動型の電力契約とは?

まず、市場連動型の電力契約は、決して悪い商品ではありません。
しかし、ハイリスク・ハイリターンの商品ですので、事前に契約リスクを把握することが重要です。

電力という商品には、それを販売するための市場があり、日本では一般社団法人日本卸電力取引所(JEPX)が開設しています。自社で発電設備を備えていない電力会社はここから電力を仕入れ、顧客に販売しています。
この市場では30分ごとに電力の単価が変動しており、この各時間帯の単価(に電力会社の手数料や利益を乗せて)を各時間帯の電力使用量に掛けて電力料金を計算するのが、市場連動型プランです。「マーケットプライス」と呼ぶ電力会社もあります。

この単価は電力需要によって決定するため、季節や時間帯、地域、経済情勢によって大きく変動するという特徴があります。

つまり柔軟に営業時間や勤務形態を変えることが出来る事業者ならばよいですが、営業時間が固定されている事業者では、ほぼコントロールすることが出来ず時間内に価格が上がらないことを祈るしかないということです。

電力会社側は市場単価に手数料や利益を乗せるだけのケースが多いため、変動リスクもメリットもすべて顧客側が負う電力メニューです。

メリットとデメリット

ではそんな市場連動型の電力販売には具体的にどんなメリットとデメリットがあるのか?
ここで纏めて見ていきましょう。

メリット

・需要の少ない時期や時間帯、地域であれば単価が下がる
 →秋頃や夏前では、複数地域で0.01円/kWhを記録している時間があります。

・蓄電池や太陽光、ガス等の併用可能な事業所では相乗効果が得られる
 →単価の上がる時間帯に代用可能なエネルギーがあれば、単価の下がる時間帯に安く電気を購入できるのでお得です。

デメリット

・需要の多い時期や時間帯、地域であれば単価が上がる
 →夏場や冬場では、複数地域で単価が40円/kWh超を記録する時間もあります。

・イレギュラーな情勢変化に弱い
 →例えば新型コロナの巣籠り需要が高まった際、寒波やLNGの減少といった要因も絡まり、連日のように200円/kWh超を記録することがありました。
  「固定単価でも値上げや事業撤退があったから一緒」という意見もあるかと思いますが、落差は市場連動型のほうが大きくなります。

・単価が固定されていないため、予算管理がしにくい

では上記からどんな企業であれば市場連動型のプランに向いているかを併せて見ていきましょう。

市場連動型向けの条件

・単価の低くなる平日の深夜~日中、土日祝日の早朝~午前中に多く電気を使用する
・単価の高くなる時間帯があっても、ガスや太陽光・蓄電池等の使用に切り替えが出来る
・ハイリスクハイリターンであることを理解し、価格の高騰も受け入れられる
・社内に専任者がいて、電力業界の動向を把握し、高騰に備えられる

こういった条件に合致している方は、市場連動型を検討してみる価値は十分にあると思います。
弊社でも、今は市場価格が落ち着いていることもあって「市場連動型に切り替えて正解だった」という方の声は聴こえてきますが、電気代が高騰していたころには嘆きの声が多かったです。やはりハイリスクハイリターンであるということは理解していなければ、「電気代が下がると聞いていたのに何故こんなことに…」という事態になりかねません。

こんな営業されてない?

冒頭で述べた通り、最近は市場連動型プランの営業を受けたという声をちらほらと聞きます。これは最近市場価格がある程度落ち着いているということもあり、商機と見ているからでしょう。
しかし、上で語った通り市場連動型はメリットの反面デメリットが多く、簡単にはオススメ出来ません。営業が来た際には下記のようなことを注意しましょう。

こんな営業には注意!

デメリットやリスクの説明をせず、今切り替えれば電気代が下がると言う
・単価の安い時期に営業に来て、現在の単価を基準に計算する
・電気の主な使用時間帯を聞いてこない

・他の商品とセット販売しかしていない
・長期契約を勧めてくる

市場価格の最安値と最高値は、1日の間でも千倍以上、年間で数万倍変動する可能性があるのに、安い時期だけを基準にして計算したり、自社が市場連動型に向いた電気の使い方が出来るかも確認しないような営業の言うことを鵜呑みにしてしまえば、後々痛い目を見ることになりかねません。そういった営業には以下のようなことを質問してみましょう。

営業に聞くべきポイント

・自社が主に使用する時間帯の市場価格
・年間の平均単価、最低単価、最高単価
・価格高騰のリスクに対する補償の有無
・契約解除の条件(コロナ等、長期間価格高騰があることが見通せる時に途中解約が出来ないとツライ)

上記のような質問を行ない、自社が市場連動型プランに向いているか、イレギュラーなリスクの軽減、いざ高騰の兆しが見えた際にスムーズに他の電力メニューや他社への切り替えが出来るかを確認しておきましょう。

また、上記のような市場連動型プラン自体の注意点以外に、他サービスをセット販売してくる営業や、長期契約を推奨する営業も要注意です。その場合は電力が安くなることに釣られて、全体で見たら損をしたということがないよう気を付けましょう。

安易な決断は控えよう

上記のように市場連動型プランには向き不向きがあること、ハイリスクハイリターンであることを理解し、自社の状況をよく把握すること、また営業の言うことは鵜呑みにせず、よくよくヒアリングしてから検討するようにしましょう。

幸いにもスターメンテナンスサポートは、電力仲介を行なっている関係で複数の電力会社より情報を得ることが出来ます。市場連動型への切り替えを行なうにしても、営業を掛けてきた相手に絞って検討しなければならないということはありません。

電力の切り替えを考えている方は、是非一度スターメンテナンスサポートにお声掛けいただければ、お客様にあった電力会社との契約が出来るよう協力させていただきます。

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参考
取引市場データ|JEPX(一般社団法人日本卸電力取引所)