今回の事例は設備の耐用年数目安が軒並み10年以上超過しており、不動作の設備や絶縁抵抗が低下しているなど、もし事故が起きたらどうなっていたか…とヒヤヒヤするような工事でした。ここで交換した設備がどんな役割を担っているのか、放っておくとどうなるのかを見ていきましょう。
場所 岡山県北部
業種 小売業
工事理由 経年劣化、絶縁不良、機器不動作
作業時間 18時間(3日間に分けて)
作業内容 AS設置、Tr・VCB・OCRの交換
経緯
こちらのお客様はもともと当社で点検を行なっていた訳ではなく、お客様より工事に伴う価格が適正かどうか分からないということでご相談を受けました。当初はお付き合いのある工事店で話を進めていたようですが、工事に4日かかるということで、それは困るので短縮出来ないかという依頼もあり、当社と懇意にしている工事店を紹介することで3日での工事完了とすることが出来ました。
現在は保安点検も任せていただいています。
放っておくとどうなる?
AS(気中負荷開閉器)
今回設置した設備で、構内へ電気を引き込むスイッチです。電気事故が波及事故に発展する要因の99.4%は、このASやそれに類する機械の未設置や不動作といった状態によって起こっています。
もしこれを放置したまま電気事故が起きたら、波及事故に発展し、近隣の電気設備にも影響を及ぼすことになるでしょう。そうすれば機器の不備を放置していた責任を問われ、賠償を求められる可能性もあります。
Tr(変圧器)
Trは経年劣化が進むと、温度が上がりやすくなります。温度が上昇したことによって内部の油が泥状に劣化し、絶縁抵抗が下がります。また過負荷運転が進み地絡が発生することも相まって火災に繋がるリスクが上がります。
そして古いTrの中にはPCBと呼ばれる劇毒が含まれている場合があります。これらは2027年3月末までに処分することを義務付けられており、これを超えて処分していなかった場合は、廃棄も移動も譲渡も出来ず、厳しい基準を満たした状態で永遠に保管しなければならなくなります。
もし、PCB含有の可能性を指摘されているTrがあるのであれば、急ぎ調査を行ないましょう。
VCB(真空遮断器)とOCR(過電流継電器)
VCBはキュービクル内で異常な電流が発生した際に、事故回路を遮断してくれる機械です。しかし、VCBだけでは検知それらを検知出来ませんので、OCRやGRとセットになっています。今回はVCBと連動して動かなくなっていたOCRがセットで交換されています。
これらが連動していないと過電流が流れた時に、事故回路が遮断されず、回路の先まで過電流が流れて設備を壊してしまいます。
当社で出来ること
今回の事例のように保安点検を依頼されていなくても、相談を受ければ柔軟に対応し、工事店と連携して事にあたります。もしも工事の規模や都合が合わず、普段お願いしている工事店では対応が難しいといった状況になれば、是非一度ご相談いただければと思います。