「働き方改革」で労働力不足を解消するために!中小企業に求められる対応は?

中小企業のみならず、大企業でも人材不足で悩んでいる企業が多い昨今、それぞれの会社で人材確保や労働生産性を上げる対策が必須となっています。大企業でさえも対策に追われている現状を踏まえ、さらに深刻な人材不足で悩む中小企業では、大企業以上に対策が求められる状況もあるでしょう。そこで、国の政策として掲げられている「働き方改革」を基に、人材不足の要因は何か、中小企業でも可能な対策方法のポイントはどこにあるのかを解説していきます。

 

働き方改革の狙いとは?

国が推し進める「働き方改革」には、少子化が進む日本で、今現在も深刻な状況となっている人材不足による事業の縮小を少しでも解消しようという狙いがあります。人材不足に陥ると、商品やサービスの提供に支障が出るほか、接客サービス業において接客をする人手が不足し、満足なサービスを提供できません。そうなると、営業時間の短縮や、事業自体を縮小する必要も出てくるでしょう。事業の縮小が進めば、全体の収入が減るのと並行して、税収も減ることにつながります。そうならないためにも、「働き方改革」で対策を取っていこうという狙いがあるのです。

○中小企業で起きている現状の問題点

少子化の影響で、若い働き手が減少傾向にあります。求職者が減少している状況で、さらに働く場所から通える範囲に住む人が対象となり、かなりの狭い範囲での人材を確保しなければなりません。高い給与や好待遇で募集を掛けるのも、業績が好調ではないと難しいので、さらに人材確保が難しいという状況です。人材を確保できなければ、現在働いている人たちそれぞれの負担が増加し、転職してしまう危険性もあります。そればかりではなく、人材不足による働く人への負担増加で、商品やサービスの品質を保てなくなったり、劣化することで、売上に悪影響を及ぼす危険性もあるでしょう。

○国の政策が進める「働き方改革」の目的

「働き方改革」にはいくつかの目的が定められています。1つ目は、特定の社員へ極端な負担がある場合は負担を分散するなどの処置を取るように指示を出す指導です。少しでも長く働いてほしい人材をつなぎとめる意図があります。2つ目は、いまだに大多数の企業で非正規雇用者が多い現状で、少しでも正規雇用との格差を縮めることです。これにより、収入の面で差が出過ぎないように調整を取ろうとしています。3つ目は、高齢者の雇用促進です。若い働き手が減少している現状、最も簡単に労働力を確保する狙いとして、スキルや経験のある高齢者の再雇用が挙げられます。

 

労働力不足による中小企業への影響は?

大企業でも人材が不足している今、ただでさえ少ない若い働き手は好条件の大企業へ流れていきます。残念ながら、募集を掛けても、良い人材には目も向けてもらえないというのが現状です。良い人材が入ってこないということは、会社自体の未来も見えてきません。経営者や役員がどんなにすばらしい事業計画を立てても、それを実行してくれる人材がいなくては、到底成功にはたどり着けません。そのために、新しい計画を立てても挫折する中小企業が増えています。

○人材確保ができないことによるデメリット

本来なら多くの人材でやらなければならない業務を少ない人数でこなす場合、多くの残業時間が発生します。ベテランで、スキルの高い少数精鋭で担当をしても、限界はあるでしょう。しかも、業績が芳しくなければ、満足に残業手当も支払うこともできず、ブラック企業としての烙印を押される危険性もあります。いったん、その烙印を押されれば、良い人材は他の企業に流れてしまうばかりか、新しい人材も入ってこないという悪循環になる可能性が大きいです。さらに怖いのは、労働力の低下で商品やサービスの品質が劣化することで、売上が減少してしまう危険性があります。

 

中小企業は深刻な労働力不足にどう対応すべきか?

中小企業が抱える深刻な問題点を十分にわかってもらえたところで、それならばどうすれば良いのかという点について解説していきます。現状、深刻な人材不足で売上減少や品質の劣化に悩んでいる中小企業の経営者が、どのような対策をすれば良いのかについて考えていきましょう。

○高スキルの高齢者を雇用する環境を整える

まずはすぐに取り掛かれる対策、高齢者の再雇用について説明します。高齢者は長年働いて来た高いスキルを持っているので、業種が違っても対応可能です。たとえば、ホテルマンを30年以上続けてきた高齢者を見てみましょう。長年の接客経験から、対応もスマートで洗練されているうえに、トラブルに対してもそつなく応対もできるでしょう。それを踏まえて、マンションのコンシェルジュや管理者、相談に乗るようなサポート窓口などが適任です。製造で長くものづくりに携わって来た人なら、若い人を育て上げる指導役として雇用することも考えられるでしょう。このように、長年の経験やスキルを活かして、高齢者の熟練スキルを活かすことが有用です。

○クラウドソーシングや人工知能を利用した労働生産力の確保

人材が確保できないときに利用したいのが、クラウドソーシングやAI(人工知能)を利用した接客サービスです。スマートフォンのアプリ開発会社を例に見ていきましょう。代表取締役を含め10人以内の中小企業で、すべての社員がすべての業務を持ち回りで回している状況です。そのため、いくら少数精鋭でも、仕事の精度が下がり、よりよいサービスを提供できなくなる可能性も出てきます。そうならないためには、コア業務を社員にしてもらい、データ入力や記事作成、メールマガジン配信など、ある程度誰にでもできるけれど時間や労力の掛かる雑務を代行に依頼するのが賢明です。新しいアプリを開発するのに、マーケティングをする人材が不足している場合、既に大変な状況にある社員へ負担させるのは難しいですよね。ここで利用したいのが、クラウドソーシングサービスです。魅力的なサイト作成やデータ分析、メールマガジン配信、SNSへの投稿などを外注で依頼することで、既存の社員かける負担を最小限にすることができます。(マネジメントする人が必要なので0にはなりませんが…。)人材を確保・育成・指導するのと、外注依頼をする費用や労力を比べると、既に技術を持っている企業や個人にアウトソーシングをした方がコストダウンかつ生産性の向上が図れます。

それからサポート対応で困っているときに利用したいのが、AI(人工知能)です。チャットボットを活用して、よくある質問に対して自動的に応対できるシステムを導入すれば、少ない人材でも十分なサポート対応ができます。

できることは自分たちでやり、できないことは外注やクラウドソーシングサービス、システムを利用すれば、多くの問題が解決できるでしょう。

 

中小企業ならではの働き方改革を考えてみよう!

中小企業は大企業には敵わない部分が多いのが現実です。いくら対抗しようとしても、徒労に終わるでしょう。そこで、中小企業が生き残るためには、中小企業ならではの対策方法が必要です。現在働いている人への待遇を良くしたうえで、高齢者が働きやすい環境を整えたうえで再雇用を募集し、なおかつコストを考えながら、クラウドソーシングサービスを上手に利用していきましょう。中小企業として、がんばっている社員全員が、幸せになれるように対策をすることが、今後の課題です。

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