最近、ニュースや町の中の風景など、色々なところで新しい「発電」に出会います。太陽光、風力は当たり前、地熱やバイオマスといった単語を頻繁に目にすることさえあります。電力不足や電力の小売り全面自由化をきっかけに、火力・水力・原子力以外の発電について知る機会が格段に増えました。
とはいえ、実用に向けて開発が進められている段階の発電方法は、まだまだ耳なじみのないものがたくさんあります。その中でインパクトの強い名前のものを、いくつかをご紹介します。
「塩分濃度差発電」というものがあります。海水と真水など、塩分の濃度の違う液体を特殊な膜で仕切ると、水分子やイオンが隣の液体に移ります。理科の授業で半透膜の実験をしたことを思い出す方もおられるでしょう。この時に生じるエネルギーを利用した発電です。
「海水温度差発電」というものもあります。海の水は、太陽光のあたる海面付近と、光も届かない深い海底では温度に大きな差があります。この温度差を利用して、エネルギーを産み出し発電する方法です。
「宇宙太陽光発電」というものもあります。宇宙空間に太陽光パネルを置き(浮かべ?)太陽光発電を行い、マイクロ波に変換して地上に電力を送り届ける、というものです。宇宙空間なら、天候に左右される太陽光の弱点がなくなる、というわけです。
このような発電方法は、無尽蔵に使えるうえに自然にやさしく、実用化されれば安定供給が見込めるため、ベース電源として期待されてもおり、国のエネルギー政策などにも反映されているほどです。
しかし、実際のところ、どのような発電が、これから実用化されていくのかという予想は、現段階では難しいところです。
重要なことは、電気を産み出す素となるものが、地球上、地球内部、外部に至るまで多種多様に存在し、様々な可能性を持っている、ということではないでしょうか。
それは、電気の作り方、つまり電源構成というものは、現段階のものが決して固定的、最終的なものではなく、より良いものが産まれ、変わっていく、ということでもあります。
仕事として電気に関わる者の使命の一つは、この電気の世界の変化をいち早く読み取り、お客様のよりよい生活の手助けをお届けすること、そうすることによって、大切な地球を守ることの一部分を担うことではないかと思います。
20XX年、電気主任技術者はどんな仕事をしているでしょうか。
こんなことを言っているかもしれません。
「社用ロケットに乗って、宇宙太陽光パネルの点検に、いってきま~す。」