生産性向上の取り組み方!課題解決のための基本的な注意点や事例を紹介

生産性向上

どのようなビジネスにおいても生産性の向上は不可欠です。近年の日本は諸外国と比べて経済成長率が低いという背景もあり、日本企業にとって生産性向上とは取り組むべき重要な経営課題だと言えるでしょう。

「生産性の向上」というと、業務の効率化をイメージする人も多いと思います。

おすすめ業務効率化とは?知っておきたいポイントと具体的な取り組み例

しかし、厳密には生産性の概念はより広義な意味合いを持ちます。施策を導入することは簡単に見えるかもしれませんが、形式だけの施策導入では期待した結果を得ることができない可能性があります。よって、適切な概念の理解と組織に合った施策の検討・導入が重要です。

そこで今回の記事では、効果的な施策を導き出すために必要な生産性の概念の解説と言葉の定義に基づいた具体的な施策をご紹介します。

生産性向上とは

生産性とは、生産する価値の効率性を意味します。つまり、インプット(投入したコスト)に対するアウトプット(算出した価値)の割合が高ければ高いほど生産性は高く、逆であれば低くなります。
したがって、生み出す価値が同じでもコストが少なければ少ないほど生産性は高く、逆にコストが同じでも生み出す価値が大きければ大きいほど生産性は高くなります。文脈によっては「業務効率化」と同義として扱われることがありますが、厳密には定義が異なります。

生産性は、費やすインプットと生み出すアウトプットをどのように定義するかによって評価できる生産性が異なります。
例えば、主な生産性の種別としては「労働生産性」「人時生産性」といった概念があります。

労働生産性は、インプットを「労働」アウトプットを「生産量」もしくは「産出量」と定義します。例えば、5人の従業員がいる店舗で100万円の売上を上げたとしたら、その労働生産性は従業員1人あたり20万円であると言えます。

また、人時生産性インプットを「総労働時間」アウトプットを「利益」と定義します。つまり、時間あたりにどれだけ効率的に利益をあげられたかを測る指標です。工事現場やソフトウェア開発における「工数」などの概念は、ここでいうインプットの概念に近いと言えます。

このように、インプット・アウトプットの定義によって測る生産性は若干異なります。ビジネスに応じて自社が求める成果に合わせたインプットとアウトプットを定義することで、生産性の定義とその向上のための施策を行うことができます。

生産性向上のためのアプローチ

生産性を上げるためには、大きく分けて「コスト(インプット)を下げる方法」「価値(アウトプット)を上げる方法」の2つに分かれます。コストとしては、ヒトやカネ、時間などの資源を定義することができます。また、成果としては商品の生産量や売上、利益など、ビジネスの結果得られる付加価値を定義することができます。コストや成果の定義は複数あるので、自社のビジネスに適したコスト・成果を複数定義して、様々な指標で生産性を測ってみるのが良いでしょう。

1つの指標をで見れば高い生産性を上げているビジネスでも、指標を変えると新たな問題が見えてくる場合があります。生産性の指標が低く出る場合、その原因がコストにあるのか、成果にあるのかを確認するようにしましょう。
生産性を低下させる原因を特定できれば、原因を解決する適切な施策を検討・選択することができます。

具体的な生産性向上の取り組み

コストの高さが生産性低下の原因である場合、定義したコストを削減する取り組みを行いましょう。
先に述べたように、コストの定義は主に「ヒト」「モノ」「カネ」といった経営資源であることが多いです。よって、「労働時間を削減する」「原材料のコストを下げる」「投入する資金を減らす」といった方法などが考えられます。
具体的には、

  • 価値を生まない業務工程の廃止・外注化
  • 仕入先の見直し
  • 評価制度の見直し(時間給を成果給に変更、等)

が挙げられます。
上記のうち、業務工程の見直しを行う施策は業務効率化の施策とも重なる場合があります。業務効率化の観点がコストカットによる生産性の向上に効果がある場合も多いので、合わせて検討すると良いでしょう。

一方で、期待通りの成果が出ていない場合やより付加価値の高いビジネスモデルを志向することで生産性を上げたい場合は、成果を上げることに着目した取り組みを行う必要があります。
例えばコストを変えずに付加価値をあげる場合、より高い付加価値をあげることができるリソースへの投資が有効です。仮に、人が手作業で行っていた検品作業を自動化ツールに置き換えることを検討する際、ツールの購入費用が人件費とほぼ同一であったとします。その場合、ツールによって自動化した方がミスも少なく品質の高い検品作業をすることが出来るでしょう。検品の品質が高ければ製品品質の高さ自体が付加価値となり、その価値に魅力を感じる顧客の満足度の向上・ブランド力の向上などにつながると考えられます。
また、事業ポートフォリオの見直しも有効でしょう。事業の成長性を考慮しつつ今後より多く価値を生み出す事業に投資し、低い価値しか生み出さない事業から撤退することができれば、会社全体としてかけるコストに対して生み出す付加価値は向上します。

このように、定義した生産性を構成するコスト・付加価値に着目すれば、自社にあった施策を導き出すことができます。

今回の記事では、生産性向上の本質的な概念をベースに、生産性を上げるためのアプローチ方法と具体的な施策をご紹介しました。生産性向上のための施策を行うには、まず減らすコストと増やす付加価値が何なのか、明確に定義することが非常に重要です。
安易な制度・施策の導入は、生産性を向上するどころか労働環境悪化・社員のモチベーション低下などにつながってしまう恐れもあります。求める生産性を適切に定義し、効果的な施策の検討・導入を行うことをおすすめします。

INFORAP