工事期間中の電気主任技術者選定の必要性

今回は最近多いトラブル「新設事業場の工事期間中の電気主任技術者選任の義務」についてお話します。
結論を言うと「電気工事に着手する前に選任する必要あり」です。

高圧需要家の皆さん、とりわけ頻繁に店舗や工場を新設している方にとっては「つい最近他の工場を建設した時はそんなこと言われなかった」「法律が変わったわけじゃないのに突然どういうこと?」「計画時の見積金額に入っていないんだけど…」と言いたくなる状況かと思います。

電気事業法では

「受電する時までに決めておけばいいだろう…」という考えの方が多いですが、実は違います!

電気工作物の工事着工前までに決めておかなければならないんです!

しかし、様々な工事を引き受ける建築会社は知らないことが多く、電力会社から「このスケジュールでは受電できません」と言われて初めて「ええ!引き渡しに間に合わない!」となることも。

事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、主務省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない。

電気事業法 第43条より抜粋

電気工事会社から建築会社に対してスケジュール感の申し出があれば良いのですが、実は電気工事会社も知らないことがしばしばあります。

これは、法律自体は変わっていないものの、以前は官民で連携した管理ができておらず、届け出をしていなくても受電できる場合があったので、あまり深刻に考えられていない…というのが現状かと思います。

しかし、最近複数のゼネコンが徹底するよう指導を受けたことで、建設会社ー電気工事会社ー主任技術者ー経済産業局ー電力会社、と連携する流れができてきたように思います。

やるべきことのまとめ

やるべきことのおおまかな順番は以下の通りです。

  1. 事業用(自家用含む)電気工作物の新設予定がある場合、計画時に電気主任技術者を選任する
  2. 経済産業局に対し、技術者の選任届出をする
  3. 電気工事を開始する(④と前後することも)
  4. 経済産業局から承認が降りたら、電力会社へ受電申請をする
  5. 工事期間中は週に1回以上の点検を行う
  6. 完成後、電気設備が正常に動作するかの検査を行う
  7. 受電をする
  8. 適切な頻度で月次・年次点検を行う

※詳細は各社の保安規定や選任形態、各工事のスケジュールによって変動する場合があります。

さいごに

本記事がスムーズな電気工事・引き渡し・運用開始のためにお役に立てば幸いです。
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電気事故事例と予防策

参考
自家用電気工作物を設置するみなさまへ中国四国産業保安監督部 電力安全課