今回紹介する事例では複数の設備を纏めて交換しました。これらは長年使用を続けており、経年劣化によって絶縁不良を起こしていたり、劇毒であるPCBの混入が疑われていたりする設備が存在していました。 これを放っておくとどうなるのか?どう対処すればいいのかを見ていきましょう。
場所 広島県
業種 小売業
工事理由 経年劣化、絶縁不良、PCB混入の疑い
作業時間 4時間
作業内容 GR・SC・SR・LBSの交換、絶縁油の採油
経緯
過去の年次点検で既に更新の目安が大幅に過ぎていること、不良個所やPCB混入の指摘はされていたのですが、電気設備の更新にはお金がかかるもの。そうやすやすとは決断も出来ないでしょうが、こちらのお客様は幸いにも電気設備の知識に明るい方が担当をしていたため、実際に経年劣化で事故を起こして3日間営業が停止した事例からすぐに復旧出来ない可能性を理解し、予算の編成を考えて中期更新計画を練って、上長へ報告を上げてくださいました。
その結果更新の許可がおり、何度かに工事を分けて依頼していただくことになりました。
放っておくとどうなる?
GR(地絡継電器)
地絡(大まかに言うと漏電)が発生した際に、事故が発生しないよう電気のスイッチを切断するよう信号を送る機械です。そのためこの設備はPASやLBSといった電気のスイッチとセットになっています。
これが劣化して動作しないと、異常な電流が止められることなく流れ、スイッチの先にある電気設備を壊れてしまいます。
SC(進相コンデンサ)とSR(リアクトル)
どちらも電気を使う際のノイズを除去する機械で、これが無いとモーターの起動が難しくなったり、起動しなくなったりします。基本的にセットで存在しており、今回は両方とも更新目安を超えていました。
古いSCの中にはPCBと呼ばれるダイオキシン類の劇毒が含まれていることがあり、厄介なことにこの機械には蓋がありません。そのため調査をしようと思うと穴を開けてしまうしかなく、調査=交換になってしまいます。
そういった事情もあって、まだ使えるなら調査を後回しにしたがる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、処理の期限も2027年3月末となっており、これを過ぎると処分も移動も譲渡も法的に禁じられ、厳重な基準を満たした上で敷地内に永遠に保管しなければならなくなるので、どのみち2年半以内に交換することになります。そのためPCBを含む可能性がある場合は早目に交換することをオススメします。
LBS(高圧交流負荷開閉器)
高圧受電設備内で起きた過電流を検知した時にヒューズを溶断して、その異常な電流が波及事故を起こさないようにするための機械です。PAS等の開閉器が正常に動作しない状況、あるいは未設置の場合、この機械が動作しなければ近隣の電気設備にまで事故の影響が波及する可能性があります。
ただ、こちらはキュービクル内の過電流に対して動作するものなので、キュービクルまで電気を引き込んでいる高圧ケーブルの異常にはPAS等が設置されていなければ対処出来ません。
当社で出来ること
スターメンテナンスサポートでは、電気設備の保安や工事の手配を行なうだけでなく、コンサルタントとして様々な情報を取り扱っています。
例えば今回のお客様は即座に予算が用意出来ないため、交換計画を中期で立てて予算を編成してといったことを行なっていますが、こういった予算の不足に対して電気設備のリースや補助金情報といったものも備えています。 リスクを回避したいがそんな大金を急に用意出来ないという方も、お気軽にご相談ください。